バルセロナといえば、今やサッカーを連想することが多いですが、スペインのこの町、私はやっぱり、観光で出かけた時の「サグラダファミリア」を思い出します。
スペインの有名な建築家アントニオ・ガウディの設計で1882年に着工されました。当時、完成まで300年はかかると言われた教会です。子供のころ、ガウディの個性ある作品に惹かれ、この建築物の完成を見たいと思いましたが、その完成予定時期を聞いて、到底見られないとあきらめました。
その後、欧州での仕事の機会を得て、1995-6年頃にバルセロナに行き、その建築中のサグラダファミリアを見ることができました。その後、スペインの経済成長、潤沢な寄付金、建築技術の向上により、完成予定は2026年と改められました。しかもその年はガウディ没後100周年、さぞ盛大な完成記念パーティが開かれることでしょう。その頃、私もせいぜい70歳、何事もなければ完成した姿を見ることができるでしょう。うれしい限りです。
ここに完成予定の解説映像を手に入れましたので、ご覧ください。
これは、1915年のサグラダファミリア。
さすがに昔の写真という感じですが、手前に移ってるのは、「牛」。さすがにスペインというべきでしょうか。というのは、スペインは闘牛(Toros)で有名な国。バルセロナに行ったときには、もちろん、この闘牛を見に行きました。闘牛そのものに興味があったわけではなく、スペインの文化として、そしてスペイン人が熱狂してきた闘牛とはどんなものなのかを知りたかったのです。ローマ時代に端を発するようですが、定かな起源が未詳とのこと。ただ、イベリア半島には、獰猛な野生の雄牛がいて、勇敢な男たちが立ち向かったことが起源であることは確か。
闘牛士が400-500Kg級の雄牛と戦うというショーなのですが、もちろん一般の日本人にはなじみの無いもので、観覧には抵抗があると思います。
戦いそのものが闘牛士に危険を伴うこと、牛は必ず殺されることから、動物愛護の観点からは批判の的であること、とはいえ、スペインの伝統であり、勇敢な闘牛士は英雄として讃えられること(収入も高額)などの複雑な思惑の中、席を選び、いざ観戦。闘牛場には日向のソンブレと、日陰のイルソンブレとに席が分かれます。イルソンブレを選んだのですが、熱い夏とはいえ、乾いた欧州南部は日陰になるとむしろ寒かったのを覚えています。水とヒマワリの種を買いこみ、手を止めることなくポリポリやりながら、人と雄牛の戦いを見届けました。
生き物が血を見せるショーというものには、初めは予想通り抵抗がありました。そして、闘牛士は真剣そのもの、気を許すと、体をはね上げられたり、角で突かれたり本当に危険です。しかし、華麗な捌きで、無傷で牛を仕留めれば、大喝采を浴びます。一方、闘牛士に大けがをさせたり、生命の危険にさらすことのある雄牛は最後には必ず殺されてしまいます(後でその牛たちは食用として処理されるので無益の殺傷対象ではありません)。
いまだに複雑な想いですが、自分から奨励はしがたいものの、勇敢さへの称賛や文化的伝統としての評価に値するものであると認識しました。
しかし、最近まで知らなかったのですが、闘牛は今、衰退の一途だというのです。動物愛護団体からの強い批判で、国民の3/4が反対の意見に変わってきたとのこと。2007年には、国営放送が生中継を廃止となりました。サッカーの興行収益も上昇し、ファンも激減。あれほどまでにスペイン人は熱狂的だったのに、不思議にさびしい思いにとらわれました。2026年に運よくサグラダファミリアの完成を見ることができたとしても、闘牛はもう見ることはできないでしょう。
ところで、スペインにはとてもうまいワインがあります。私の独断ですが、「リオハ」ワインは、私のワインランキングでは上位ランク。独特の濃厚な香りと深く濃い味わいは、個性が強いので、万人受けはしないかも。また、コルクが柔らく割れやすかったり、店でもあまり温度管理に神経質でなく、ぞんざいにボトルが立て置きになっていたりと、扱いがラフな感じがします。とはいえ結構上質なものでも比較的安価です。
ちょっと、紹介しておきましょう。
Marque’s de Ca’ceres 1987
Marque’s de Riscal 2005
どの種類でも、やはり、グラン・レセルバ(長期熟成ワイン)がお勧め。