日本が、海外の先進国に対して、強い発言ができるか、国力を一層高めることができるかは、国民をどれだけ、大事に、そしてやる気にさせられるかにかかっています。近年の報道で、ブータンの国民幸福指数が高いとか、キューバはとても貧しいながらも、国家に対する信頼は高いとか、ブルネイの国民所得が高いとか興味深い話が出ています。戦争、困窮、諸問題山積の国家が多い中、このような幸福度の高い国は稀なのですが、少なくとも「国民を大事にする」国でなければ幸福度は上がらないでしょう。
国家、国民を論じる前に、もっと身近な勤労というテーマでも同じです。
我が国の会社員であることの幸福度はどうでしょう。
最近、不景気の影響で、「ブラック企業」が増えています。
しかし、ブラック気質というのは、残念ながら日本人の悪い特性に根差した問題の一つなのです。
美徳の名の下に、自己犠牲を強いる企業も少なくないはず。
そんなものは美徳でもなんでもない。美徳とは人に強いるものではなく、自発的な気質です。私は常に危惧感いだいてきました。
具体的な注目すべき課題を取り上げてみます。
残業代を浮かせるために「管理職」をやたらに増やす会社はありませんか。
労働基準法第41条第2号が規定する「管理監督者」に該当する場合は、残業代の支払(深夜残業は除く)を支払う必要はないので。
しかし、この管理監督者に該当するか否かは、
1.経営者と一体の立場にあるといえるだけの権限があるか
経営方針の決定に参画し、または労務管理上の指揮権限を有しているかということです。
自分の意見を主張できていますか。暗黙の圧力で言論統制されていませんか。
2.出退勤の自由があるか
出退勤について厳格な規制を受けず、自己の勤務時間について自由裁量を有する地位にあるか否かですが、
どうです。しばりつけられていませんか。
3.残業代が支払われないことことを十分に補うだけの待遇がなされているか
職務の重要性に見合う十分な役付手当等が支給されているか否か、賞与について一般労働者に比べて優遇措置が講じられているか否かですが、
これは判断に迷うところかもしれません。基本給が少なく、役職者手当が大きければ、「好待遇」と認めさせられかねません。
といった要素を加味して、厳しく判断される必要があります。
「管理者=残業代なし」という主張は、そう簡単に認められるものではありません。
一般的には、「課長」以上を管理監督者として扱っている例が多いようですが、
必ずしも法的に妥当でないケースもあり、課長について管理監督者でないとした裁判例もあるくらいです。
次に有給休暇について一言。
労働基準法第39条によれば、年次有給休暇は雇入れの日から起算して、
6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、
継続または分割した10日の有給休暇を与えなければならないとなっています。
嘱託やアルバイト、パート労働者の場合も同じです。
6ヶ月経過後は、継続勤務年数1年ごとに、その日数に1日(3年6ヶ月以後に2日)を加算した有給休暇を与えなければならないとも決められています。
どうですか、
会社は景気が悪ければ、悪いなりに、その状況を社員に説明して、
我慢させなければならないと思いますが、
どちらが先かにもなりますが、
社員に対し、規約なんてものは、迷いを持たせたり、
暗黙の圧力で縛ることなく、明快に規定を履行させ、
幸福度を高め、やる気を出させるべきです。
そうすれば、自主的な自己犠牲も払うようになり、
会社に貢献するようになり、日本人の本来の美徳が発揮されるようになるのです。
そうでない限り、他国には勝てないでしょう。