ニュートリノの研究でノーベル賞受賞が世間をにぎわしています。ニュートリノに質量があったということ。先立つこと2011年9月、この粒子が光速より速い速度で運動するという実験結果が提出されました。光より9174m/s速いという結論。
しかしこれはその後否定され、光速より遅いということに落ち着いています。しかし、依然として光速に近い速さとは考えられています。
相対論によれば、質量をもつものが光速を超える運動できないことになっています。相対質量が無限大となり、運動が停止するからです。
今回の発見は、ニュートリノに質量がない予想で展開されてきた理論が覆ることなのですが、光速に近いあるいはそれに等しいほどの早い粒子が質量をもっているということは、それだけでもすごいことだと思うのです。
光速を越えなければ、SFの大命題である「タイムマシン」は実現できませんが、「双子のパラドックス」は実際に体験できるようになるかもしれません。
光速より速いとされた実験結果とその撤回の記事(Wiki抜粋)
2011年9月23日CERNで、観測したニュートリノが光速より速かったという実験結果が発表された。「国際研究実験OPERA」のチームが、人工ニュートリノ1万6000個を、ジュネーブのCERNから約730km離れたグラン・サッソのイタリア国立物理学研究所研究施設に飛ばしたところ、2.43ミリ秒後に到着し、光速より60.7ナノ秒(1億分の6秒、ナノは10億分の1)速いことが計測された。1万5000回の実験ほとんどで同じ結果が示された。この発表は「質量を持つ物質は光速を超えない」とするアインシュタインの特殊相対性理論に反するため世界的な論争を呼んだ。光より速い物質が存在しないのは、粒子を光速にまで加速するためには無限のエネルギーが必要だということが理由だが、もしこの実験結果が本当だった場合、このニュートリノはエネルギーを必要としない何らかの相転移で超光速になってまた戻ったとする仮説なども考えられた。
OPERAチームは、光速を超える物質が存在しないことを証明する特殊相対論がこれまでの実験と理論でしっかり確立された理論であり、自分たちの実験結果は誤りだと考えていた。そのため結果を発表するのに数か月の内部討論を重ね、実験結果の誤りを探したが、内部討論では誤りを発見できず、科学界での検証を呼びかけた。OPERAは声明の中で「この結果が科学全般に与える潜在的な衝撃の大きさから、拙速な結論や物理的解釈をするべきではない」としていた。
11月18日、OPERAは、ニュートリノビームの長さを短くした再実験によってもほぼ同様の結果が見られたと発表した。ただ時間情報は前回と同様GPSを使ったとしている。
その後、ニュートリノの到着側で地上と地下の時計をつなぐ光ケーブルの接続不良やニュートリノ検出器の精度が不十分だった可能性が見つかったため、2012年5月、実験不備を解消した上で再実験を行った。結果、ニュートリノと光の速さに明確な差は出ず実験結果を修正、6月8日にニュートリノ・宇宙物理国際会議で「超光速」の当初報告の正式撤回を発表した。