小さくて表示がわからないかもしれませんが、これは中国のとある巨大スーパー、ウォールマートのワンシーンです。麺の棚ですが、下の方に「子羊・・・」と見えます。ズバリここには見えませんが「小肥羊(しゃおふぇいやん)」は、有名な鍋底スープ。いわゆる四川などの辛い鍋料理、火鍋といいますが、羊の肉のしゃぶしゃぶです。数年前、シンセン地区に住んでいたころは、よくこの店に行きました。
辛い火鍋の中では、この店の味は独特です。このスープベースは、やはり羊肉が良く合います。薄切りの冷凍がいいですね。ただ、一般的には、四川の味は「麻辣(マーラー)」といわれ、「麻(マー)」という山椒が効いた味です。中国の山椒は花椒(ファージャオ)といい、日本のとちょっと違い、舌がしびれます。ちなみに「辣(ラー)」は唐辛子の辛味。
辛さでは、四川が有名ですが、実は「湖南省」の湖南料理の方が辛いといわれます。いわゆる「酸辣(スーラ―)」と言われ、すっぱからい味です。私はどちらも大好きです。
辛さに関しては、キムチに代表される韓国も辛い料理で有名ですが、南アジアの料理ほど辛いとは思えません。韓国料理の赤い色は、とても濃い赤ですが、辛さは赤色には比例しないようです。
辛さに関しては、私が経験した範囲では、インド、スリランカ、タイなどが料理としてのスコビル値が高いと思います。
インド系カレーでは、ボリューム感のある濃い系のビンダルー、スープ系のカシミール。見た目はおとなしいけれど超激辛のスリランカカレーなどが強烈です。タイ料理では、カレー系では、ココナツミルクの効いた青カレーがおすすめで、サラダのヤムウンセン、ひき肉料理のガパオなどは、やはり本場の辛さでないとうまくありません。
南アジアの不思議の一つに、お互いに隣接している国同士では、互いの国の料理の味を出せるかというと、一般的にそうではありません。たとえば、マレーシアで、タイ料理を食べてもしっくりこないのです。ただ例外なのはシンガポール。シンガポールは、比較的、その国の名を名乗る料理店では、オリジナルに近い味を出します。研究熱心なのか、諸外国の人たちがたくさん来るせいでしょうか。
もともと好き嫌いが全くなく、料理に好奇心の強い私は、どの国に行っても、その国の人が「これはおいしい」というものは、なんでもおいしく食べます。やはり、その国の風土に合った味が環境に合うのでしょう。
話を元に戻せば、小肥羊は、痺れる辛さ以外に固有の、そういわゆる漢方系ともいえるようなスパイシーさのあるスープです。ある意味でピュアな感じがします。このようかところに、普段政治面ではややこしい場面もある中国の純粋さを感じざるを得ません。